鍵掛峠とは|大山南壁を望む紅葉の展望地
大山は、見る方角でまるで別の山に見えます。西から見た姿は富士山のように整っていて「伯耆富士」と呼ばれますが、南や北にまわると一転、崩落を繰り返してできた荒々しい岩壁があらわれる。鋭く切り立った稜線は、まるでアルプスのようです。
鍵掛峠はその南壁を正面に据えられる、数少ない展望地。手前のブナ林の紅葉と、奥にそびえる南壁を一枚に収められます。眼下のブナ樹林は西日本随一とも言われ、紅葉のスケールは格別です。
撮影のコツ
光と時間帯|南壁が染まるのは夕方
南壁を撮るなら夕方。理由は地形にあります。このあたりは西の空が大きくひらけていて、日が傾くと西日が南壁の岩肌にまっすぐ当たって赤く染まります。逆に朝は、東からの低い光が山に遮られて紅葉まで届きにくい。山頂付近なら朝日でモルゲンロート(朝焼けで山肌が赤く染まる現象)が見られることもありますが、ふもとの紅葉には光が回らないことが多いです。

構図とレンズ|三段の奥行きを意識する
手前のブナの紅葉、その奥の谷、いちばん奥の南壁。この三段の奥行きを意識すると、大山らしいスケールが出ます。焦点距離は広めが扱いやすく、メインの一枚は28mmで撮影。25〜35mmの広角から標準ズームがあれば、全景から南壁の切り取りまで対応できます。三脚があると構図を追い込めますが、ピークの展望台は撮影者でぎっしりで場所を取りづらい。このときも三脚は出さず、人の隙間から手持ちで狙いました。
使用機材
各機材の詳しい使用感は、風景写真で使っている機材まとめで紹介しています。
周辺の撮影スポット
三ノ沢から見上げる南壁
鍵掛峠展望台から車で3分ほどのところにあるのが三ノ沢。大山の南壁は、一ノ沢・二ノ沢・三ノ沢という三本の大きな沢に削られています。長い年月の崩落でできた、いわば南壁のシンボル。三ノ沢からは南壁をすぐ近くに見上げられて、鍵掛峠とはまた違う迫力があります。
こちらも染まるのは夕方。岩肌に西日が回ると、崩れた斜面の陰影まで浮かび上がってきます。なお、奥に入り込まなくても道路沿いからほぼ同じ構図が狙えます。

ブナのトンネルが続く大山環状道路
鍵掛峠や三ノ沢へ向かう大山環状道路は、それ自体が紅葉の名所です。通行は無料。二ノ沢から三ノ沢のあたりは、道の両側からブナが覆いかぶさってトンネルのようになっていて、ドライブコースとしてもおすすめです。

道幅は山道としては広めで走りやすい方ですが、紅葉のピークは駐車場に入る車で峠の周辺が詰まりがちです。道路そのものが動かなくなるほどではないにせよ、駐車待ちの列はできると思っておくと安心です。
紅葉の見頃と三段紅葉
鍵掛峠の紅葉は例年10月下旬から11月中旬が見頃。訪れたのはちょうどピークの10月下旬で、平日でもテレビ局が取材に来るほどの賑わいでした。駐車場は昼間から満車、車がひっきりなしに入れ替わっていて、ピークの鍵掛峠はそれくらい混みます。
初冠雪と紅葉の見頃が重なると、稜線の白、斜面の紅葉、ふもとの緑が重なる「三段紅葉」になります。大山の初冠雪は毎年ニュースになるのですぐわかりますが、紅葉と重なる年ばかりではないので、出会えたら相当の当たりです。
鍵掛峠の見頃・駐車場・アクセス
紅葉・10月下旬〜11月中旬(11月の初冠雪で三段紅葉になることも)
鍵掛峠駐車場(無料・15台ほどと小さい) ピークは満車・駐車待ちの列 トイレあり
土日祝の10〜15時がピーク 早めの行動がおすすめ
米子自動車道「江府IC」から車で約50分 大山環状道路沿い
約910m
まとめ
鍵掛峠は、登らずに大山の荒々しい南壁と一面の紅葉に会える展望地です。夕方の西日に南壁が染まる時間を狙って、三ノ沢やブナのトンネルとあわせて巡れば、大山の秋をたっぷり味わえます。混雑だけは覚悟して、早めの行動を。
大山には、紅葉だけでなく登山の楽しみもあります。夏山登山の記録は初登山で伯耆大山に登ってきた話でどうぞ。中国地方のほかの絶景は中国地方の絶景撮影スポットまとめに。
